少彦名神社で献湯祭/大阪市

疫病退散を祈り

献湯祭の神事

 大阪市中央区道修町にある少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)で10月23日、疫病退散、健康増進を祈る献湯祭が行われた。
 神農(しんのう)さんとも呼ばれる同社の主祭神は、大国主の国造りを助けた少彦名命(すくなひこなのみこと)と、古代中国の伝承上の三皇五帝の一人で人々に医療と農耕の術を教えた神農炎帝(しんのうえんてい)。薬や医療、温泉、国土開発、醸造、交易の神で、薬の神として健康増進、交易の神として商売繁盛の神徳があると信仰されている。医薬の祭神を祀っていることから、道修町に多い医薬業の関係者が参拝する。また、薬種仲買仲間の伊勢講から始まった神社なので、伊勢神宮のお札を求める参拝者で正月は賑わう。
 毎月23日の献湯祭では、拝殿の前に大きな釜を据え、煮立った湯を入れて、太鼓の音に合わせて神楽「湯立(ゆだて)」を奉奏し、白い袴姿の巫女が「式神楽(しきかぐら)」を舞い、笹の束で釜の湯をまき散らす。
 終了後、参詣者に御神酒が振る舞われ、湯立で用いた湯は「湯花(ゆばな)」として持ち帰れる。湯花は、手洗いなど清めたい場所にまいたり、風呂の湯船に入れるとよいとされる。