神戸で第4回「世界平和 祈りの幕開け」

諸宗教・宗派代表が平和の祈り捧げる

天理教代表による「おつとめ」

 新型コロナウイルス感染症の蔓延で世界が苦しみ混迷を深める中、感染防止対策を万全に「第4回世界平和 祈りの幕開け」が神戸市の神戸ポートピアホテルで開催された。主催はNPO法人神戸平和研究所(杣浩二理事長)で約240人が参加。午前11時に開幕し、仏教、大本、神道、天理教、イスラム教、キリスト教の代表による平和の祈りと参加者の黙祷が行われた。
 「世界平和 祈りの幕開け」は、異なる民族、宗教、文化の垣根を越えて諸宗教・宗派が連携し、「神戸から世界平和の草の根運動の輪を広げて行こう」との趣旨で毎年、開催されている。
 会場に用意された世界平和を象徴する日本家道山川流の生け花に最後の一輪をさした杣理事長は、次のように開会の挨拶。「日本の国の成り立ちを聖書から解明する作業がほぼ完了し、2800年前から預言された国だったことが明らかになった。当研究所の三宗司郎所長(イスラエル名誉領事)はユダヤ人も納得する内容だという。正式には論文にして来年発表したい。先日、ルクソールの遺跡の天井画を見て、日本とのかかわりを確信した。各宗教の代表とともに研究を進め、心を一つに対立から協調へと平和活動のモデルを示していきたい」
 続いて、壇上の各宗教代表が、それぞれの形式で「世界平和への祈り」を披露した。独特の所作や祝詞、シンプルなメッセージと祈りを捧げる形は異なっても、平和を願う心は同じで、参加者は興味深く見入り、最後に全員で黙とうを捧げた。
 次に、来賓の世界連邦日本国会委員会第14代会長で元衆議院議員の中野寛成同委員会会長代行が記念講演した。国家公安委員会委員長、拉致問題担当大臣など務めた中野氏は長崎市の潜伏キリシタンの家の生まれで、4歳の時に被爆している。以下、講演概要。
 本日は、1918年11月11日第一次世界大戦が終結した「世界平和記念日」で、ヨーロッパ各国では戦没者慰霊などの行事が行われている。第一次世界大戦後に創設された国際連盟の事務次長は新渡戸稲造で、彼の英語の著書『武士道』は発明王エジソンも愛読していた。
 世界連邦は全ての国を統合した世界連邦の成立を目指す超党派、超宗教の平和運動。第二次世界大戦末期に成立した国際連合が戦争抑止力の低いことを痛感した世界の科学者・文化人たちが、戦争をなくすことを決意し1946年に始めた。提案したのは米国の原爆開発にかかわった物理学者アルベルト・アインシュタインで、バートランド・ラッセル、アルベルト・シュヴァイツァー、ウィンストン・チャーチル、湯川秀樹などのノーベル賞受賞者が賛同した。
 世界連邦は世界政府を模索し、連邦議会が定めた法の下、世界各国が平等となり、各国は警察だけを保持し軍は保持しないという理想世界を目指している。貧富の格差を是正するため国際連帯税、国際刑事裁判所の創設などを提案している。
 日本では終戦・被爆60周年の2005年、衆議院本会議で可決された決議に「世界連邦実現の道の探求」とあることから、外務省に世界連邦運動の窓口が設置され、14年までに234の自治体が世界連邦賛同を宣言している。
 講演に対し「世界平和 祈りの幕開け」の参加者たちは共感の拍手を送った。
 続いて「アガペワールド」の恵子・ホームズ代表の講演、仏教ポップバンド沙門の演奏があり、同研究所顧問の加藤隆久生田神社名誉宮司の発声で乾杯、昼食会となり、参加者全員で記念撮影し、閉幕した。